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タイ・チェンマイの「働きながら旅する」体験で見えた自分をアップデートするカギ

Text:山本 茜
編集:トイロハ・ワークス編集部

日本でもコワーキング、リモートワークという言葉は浸透し、認知度が向上してきている。だが、居住地から移動し、旅して働く「コワーケーション」という考え方はまだあまり知られていない。その「コワーケーション」を、8月5日から12日まで、チェンマイで体験してきた。その中で私が得た収穫、そして海外のコワーキングスペースでのリモートワークの可能性についてまとめてみた。

「働きながら旅する」WORXTRIPとは

WORKXTRIPとは、「リモートワークしながら旅しよう」をキャッチフレーズに、リモートワーカーが共に旅するコミュニティをつくり、価値を提供するプログラムで、今回私が参加したのは、タイ北部の街チェンマイでの1週間の滞在だった。

今回の参加者の肩書きの例を挙げると、コンセプトシェアハウス事業の経営者、フリーランスのWebエンジニア、会社のバックアップを受けてエンジニアの仕事をリモートでしたいと挙手した若手会社員など、総勢7名。

ちなみに、わたし自身は会社員とフリーランスでマルチキャリアを実践しており、ECサイトを運営するスタートアップでカスタマーサポートをしつつ、大阪にある大人の学びの場「Learning Bar CF 曽根崎」の企画運営を行っている。今回は、ECサイトの会社ではリモートワークの許可が下りなかったため休暇を取り、Learning Barの仕事については、問い合わせ対応、情報配信やホームページ更新など普段通り、オンラインで可能な業務を行った。

なぜチェンマイでリモートワークなのか

世界のデジタルノマド事情に通じている方なら周知の事実と思うが、チェンマイはいわゆる「デジタルノマド」と言われる世界中のリモートワーカーたちのハブである。なぜ彼らがチェンマイに集まるのか、現地のコワーキングでの取材記事などを見ていると、物価が安い以外にも以下の理由があるようだ。

・リモートワーカーが働きやすい環境、そしてコミュニティがある

チェンマイには多数のコワーキングスペースが点在し、それらを中心としたリモートワーカーのコミュニティが存在している。

・都会と田舎の両方の要素があるコンパクトシティ

チェンマイ市街地はバンコクに比べればゆったりしているが、そこまで田舎過ぎるわけでもない。旧市街には寺院やローカルな市場といったタイらしさもある一方で、そう遠くないところには大型ショッピングセンターやお洒落なカフェなどがあり、ひとつの街で都市と郊外の両方の要素を持ちあわせている。

・外国人でも溶け込みやすい

アジアを旅した方なら、タクシーなどの客引きに執拗に声をかけられうんざりという経験をされたことがあると思う。私自身もチェンマイで体験したが、商売をしている人たちはそれほどしつこくもなく、かといってローカルな食堂で外国人同士で食事をしていると居心地が悪いといったこともなく、しかも英語もある程度通じる。この現地の人とのちょうど良い距離感が長居をさせるのかもしれない。

参加して見つけた、自分をアップデートさせた3つのカギ

ところで、私がなぜ参加を即決断したのか、その理由をお伝えしておきたい。まず、日本と海外に複数の拠点を持つという私の目指すライフスタイルの疑似体験をしてみたかった、というのがそのひとつめの理由だ。

これまで国内外のさまざまな場所を旅してきても、留学を除いては一か所に1週間以上ずっと滞在することがなかった。もし、チェンマイが自分の拠点のひとつだとしたら、ここで暮らしているとしたら、とイメージして、腰を落ち着けて一つの街を感じてみたかった。

もうひとつは、多拠点生活を送る上で切っても切り離せない、リモートワークを体験してみたかったこと、そしてすでにその生活を可能にしている人たちと同じ環境で話をしてみたかったからだ。

できればプログラムの終了後には、2017年3月に新卒で入社した会社を辞め、キャリアと生き方の模索を始めてから向き合い続けている自身の望むライフスタイルの軸となるものを明確にしたいと考えていた。

結果として、期待していたよりも多くの気づきを得ることができ、まさに自分が「アップデート」されたような感覚だったのだが、そこには以下の3つの要素があるのではないかと考えている。

(1)価値観の変化

普段接することのない、さまざまなバックグラウンドの人たちと密に接することで、新たな価値観を持つことができた。私の場合は、経営者や自分と全く違う領域のフリーランサーと一緒に食事をしたりするだけでも彼らの考え方に「ナルホド」と思うことが多々あり、自分ももっとレベルアップしたいと強く感じた。

また、他人の視点から旅先の街を見ることで、ひとりで旅をするだけでは絶対に見えないものが見える。同じ体験をしながらも、例えば経営者なら自分と全く違う感覚で物事を感じ取っているということをリアルに勉強させてもらえたのは非常に有意義だった。

ちなみに、滞在中に一部プログラムの時間をいただき、「これからの時代のキャリアとライフスタイルを考える」というテーマでワークショップを行った。参加者は20~30代で、これから自分の人生を深めていく段階ということもあり、自身がどんなキャリアとライフスタイルを送りたいのか、考えを膨らませてもらう機会とすることを狙った。

送りたいライフスタイルについて、ひとりひとりにシェアをしてもらったが、「ずっと東京で生まれ育ったが、北海道に移住したい」「拠点を複数持ち、時々移動をして暮らしたい」など、お互いに深い学びとなる意見交換がなされた。

全体の感想としては、「同じテーマについて話すことでそれぞれの価値観が少し見え、参加者に対して興味を持ち、もっと互いに話したいと思った」との声もあり、参加メンバーがプログラム中に相互に繋がるきっかけづくりができたのではないかと思う。

私は普段から大阪のLearning Barで少人数でのワークショップを行っているが、海外という非日常の場では、より他人の考えに対して感度を高め、内省を深めることが可能になると感じた。

(2)刺激が生むビジネスアイデア、クリエイティブな発想

外国という異文化の中に身を置くことで、食事ひとつにしてもなんらかの刺激を受ける。その非日常の環境で発想が柔軟になり、特にクリエイティブ職の人にとっては、創造性を高められるのではないだろうか。

また、自分で事業を起こしている人にとっては、現地のサービスやモノが参考になったり、新たなビジネス展開のアイデアを得たりすることができる。事実、事業を経営されている方は、観光や体験を通して感じたことを具体的にサービス向上に取り入れるそうだ。

日本にはまだ導入されていないサービスも海外では当たり前だったりする。例えば、今回ではチェンマイで数か月前に導入された、QRコードでロック解除できてキーレスや、どこでも乗り捨て可能なシェアバイクサービスMobilkeの利用を通じて、キャッシュレス、シェアリングの便利さを実感した。

(3)人とのつながり、WORXTRIPのコミュニティ

海外旅行中に日本人と一緒になると不思議と親近感を感じたことのある人は分かると思うが、異国で一緒に過ごすと一体感が増し、プログラムで共有した時間がとても濃密だった。

今回のようにわずか1週間だけでこれほど距離が近くなったのだから、1ヶ月もあれば仕事のパートナーになったり、新規のプロジェクトを共同で起ち上げる可能性も十分にあり得ると感じた。

必要な調整をし、時間を取ってここへ参加することに価値を感じる人たちというだけでフィルターがかけられているため、共有できる価値観も多様であり、一度打ち解けると話が早い。私自身も仕事上の課題を相談したり、今後の自分の事業のアイデアを聞いてもらったり、自分のキャリアを考えるうえで非常に大きな収穫があった。これが今後WORXTRIPのコミュニティとして発展していくと、とても面白いと思う。

今後期待したい、海外のコワーキングスペースへ旅することの可能性

ただ、せっかく外国に来たのだから、そこでしか得られない「つながり」が得られればもっと体験の価値が高まるのではないかとも感じた。

日本でコワーキングスペースというと、目的は設備利用で、一人で作業するというイメージが強いが、元来のコワーキングスペースの役割は、利用者同士のつながり、会話、交流を生む場ということである。海外にはその素地ができているコワーキングスペースが数多くあり、もちろんチェンマイにも存在する。

今回滞在中に利用したのはCAMPという大きなモールの中にある、24時間オープンのコワーキングスペースのみだった。タイ人ではない外国からのワーカーが7割近い印象で、地元の学生の利用も多いようだった。どちらかというと静かで集中できる環境で、私たちも自分たちの仕事に打ち込んで過ごしていた。

チェンマイ滞在の最終日、他のコワーキングスペースも見てみたいと思い、個人的に旧市街の中にあるPunspaceに寄ってみた。

Punspaceはチェンマイに3ヶ所展開するコワーキングスペースで、私が立ち寄ったのは広い庭のある「Wiang Kaew」だが、その他の2ヶ所はモダンでシンプルな空間になっている。

その日は日曜で、会員のみが利用可能な日だったため、残念ながら利用できなかったが、中にいたワーカーと少し会話した雰囲気から、どことなく人のつながる空間があるような「におい」がした。

日本人はシャイな気質や英語に対する苦手意識がハードルになり、積極的な交流をしない人も多い。そこでその橋渡し役になる存在があれば、海外のハイスキルなワーカーたちとコミュニケーションを楽しむ、さらには一緒に仕事をする可能性が開ける。まだまだ個人単位でグローバルなネットワーキングができる日本人が多くないということは残念であり、WORXTRIPがそれを乗り越える機会となれば、非常に大きな価値を提供できるのではないのだろうか。

可能性を感じたら、まずアクションしてみる

日常の生活に戻ってからというもの、ポジティブな意味で、今まで満ち足りていたように思えた日常がぬるま湯のように感じている。

帰国後、北海道移住をしたいと言っていたエンジニアが、会社側へ掛け合い、北海道拠点新設に向けて実際に動き出していたり、参加者同士で協働した事業の起ち上げを構想したり、それぞれが何かを掴み取り行動に移していることからも、この1週間の経験が与えた影響を見て取ることができる。

今の日本では、数週間の休暇を取ることはなかなか難しい。だが、たまには場所を変えて新鮮な感覚の中で過ごす、日常から一歩離れてみる期間を取ることは感性を高めるためにも、自分の知っている世界を広げるためにも不可欠だと思う。

そうして、自分をリチャージする期間を、仕事をしながら持つのが理想的ではないだろうか。会社員でも、サーバーセキュリティなどの課題さえクリアできれば、工夫次第で一定期間リモートワークできる職種は意外とあるのではないかと思う。

なお、WORXTRIPの次回のチャレンジは、2019年1月後半〜2月前半の1ヶ月間、タイのビーチリゾート、パタヤと北部チェンマイでそれぞれ2週間ずつを過ごすプログラムだ。どちらか2週間だけでも参加可能なので、所属を問わず、次のような方にはぜひチャレンジしてみてほしい。

・海外でのリモートワークを通して日常とは違う環境に身を置いて仕事をしてみたい方
・価値観を交換し高め合える仲間との出会いを求めている方
・キャリアの節目など、自分をアップデートする期間を持ちたい方

前述の、会社のバックアップを受けて参加した若手会社員のエンジニアが、帰国直前にひと回り成長した表情で感想を述べていた様子が強く印象に残っている。ただ仕事と観光をするだけではない、それ以上の価値が、WORXTRIPのプログラムには詰まっていた。

WORXTRIP公式サイト
WORXTRIP公式Facebookページ

※2018年8月のチェンマイプログラムの詳細情報、次回のプログラム(2019年1月後半:チェンマイ、2月前半:パタヤ)の詳細情報は上記ページをご覧ください。

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