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エンジニアの働きやすさを追求したらこうなった〜場所、時間、副業、雇用形態すべて自由な会社が目指す未来〜

Text:民輪一博
編集:トイロハ・ワークス編集部

とにかく出社したくなかった、それが会社を作った理由

はじめまして。K.S.ロジャース株式会社以下、KSR)で代表をしている民輪(たみわ)と申します。28歳です。民輪という苗字は200人くらいしか日本でいないらしく一発で覚えてもらえるかと思います。

KSRは、完全フルリモート・就業時間なし(つまり0〜24時です)・副業自由・雇用形態自由、といったワークスタイルを実行している会社です。僕自身は関西にいるのですが、メンバーの半分以上は関東在住で、他に関西、北海道、九州、海外と各地に散らばっており、現在Slackには40人以上が所属しています。ちなみに9割がエンジニアです。

僕自身はずっとスタートアップをCTOとして経験してきた(今が3社目)のですが、とにかく出社をするという行為に意味を見出せずに過ごして来ました。別にPC一台あれば仕事できるじゃんかと。とはいえ、人と会ったり、いろいろしなくてはいけないのは事実で、会社として決めたルールもちゃんと守らないと示しがつかないので出社はしていました(ちなみに遅刻常習犯でした)。

2017年11月にそれまでやって来ていたAI系のスタートアップの役員を辞任し、その後何をやろうかなーと1ヶ月ほどのんびり考えていた結果、複数の会社さんからの引き合いも有難いことにあったのですが、自分でやろうと独立を果たしました。とにかく出社したくないし、時間に縛られたくないし、東京に住みたくなかったんですよね。なら自分で会社をするしかないだろうと。

ということで、この記事ではこんな変なワークスタイルの会社だからこそ実践しているチームビルディングやマネジメント、重要視していることや直面してしまったトラブルなどを紹介します。

KSRのミッションは場所や時間に左右されずに事業を起こせる世界の実現

とりあえず起業するにあたって、じゃあこの会社は何をする会社にするのか?と考えました。自分自身エンジニアとしてキャリアを歩んで来た中で、そもそも最初に起業したのが朝からスーツを着て会社に行って仕事をするという行為そのものをしたくなかったのが重要なモチベーションの一つだったなぁと気づき、であれば、そういう文化、社会を作っていく会社にするか、という感じで生まれたのかKSRという会社です。なのでミッションも「エンジニアにとって最も働きやすい環境を作る」としています。詳細はウェブサイトを見ていただければと思います。

僕自身は場所や時間に縛られないでも、ちゃんと大きな事業を生み出したりすることができると信じています。だからこそKSRが目指すのは「場所や時間に左右されず、自由に新規事業が創れる世界の実現する」ことです。その世界を実現するためにも、エンジニアという役割で時間や場所に縛られずに事業を起こせるスキームを確立させたいと思っています。

とかなんとかいろいろ書いているのですが、おかげさまで相当自由な環境で仕事をすることができ、この原稿も22時に喫茶店で執筆中です。

旅行しながらの仕事もOK

KSRのワークスタイルはこんなに自由

KSRは前述の通り、完全フルリモート・就業時間なし・副業自由・雇用形態自由を謳っています。

・完全フルリモート
その名の通り場所の縛りはありません。自宅でもカフェでもOKですし、なんなら知り合いの会社のオフィスで仕事してもOKです。

・就業時間なし
いわゆるスーパーフレックスですね。いつ働いてもOKで、朝から夕方、昼過ぎから深夜にかけてでもいつでもOKです。

・副業自由
最近、副業が解禁で話題になりましたが、KSRにとっては当たり前の働き方です。他のスタートアップで仕事したり、逆にメインがメガベンチャーで副業でKSRで仕事しているメンバーもいます。

・雇用形態自由
雇用形態は正社員、副業、業務委託(フリーランス)がありますが、どれを選んでも自由です。また正社員から業務委託への変更やその逆も可能です。正社員で仕事していたけれども自分の夢を追いかけたくなったのであれば、メインは自分の夢を目指しつつ、副業でKSRにコミットすればいいじゃんというくらいの軽いノリです。

上記の4つのワークスタイルとして重要視しています。(が、法律がまだ追いついていない感じなので苦労しています)

ちなみに僕のワークスタイルは、

こんな感じです。完全に夜型ですね。起きるとオンラインでのミーティングをする事が多いです。その後、外に出て仕事をしたり人に会ったり、夜に帰宅して休息をとって風呂から上がって来たら、寝るまでの時間仕事をする感じです。

採用応募が100人を超えて捌くのにおおわらわ

この会社の強みの一つは採用です。こういうスタイルの会社だからでしょうか、Wantedlyなどに出している採用の募集記事への応募が止むことがありません。人手不足が叫ばれる昨今、通常であれば応募がなくて困るんでしょうが、去年の10〜11月にかけては応募数が100人を超え、あまりに多すぎて捌けずに困った事態に、という逆転現象が発生しました。

今、会社のSlackには正社員やフリーランスの方々以外にも、有名なメガベンチャーのエンジニアや関東・関西だけではないエンジニアなど多種多様なバックグラウンドを持った人たちが所属しています。だからこそいろんな経験をフィードバックしてもらうことができ、まだ一年の会社とは思えないほどのノウハウの蓄積に成功しています。

また、能力はあるけれども、家庭の事情でどうしても出社できない人や地方から出たくない人も、この会社のワークスタイルにマッチすることもあり、複数の人たちに所属してもらっています。

実際のところ、自分自身が関西に住んでいて、エンジニアの採用を関西縛りでするのは現状では無理だなと感じていたからこその作戦でもあります。ちなみに、関西での採用が厳しい理由についてはブログに書きましたので、そちらを読んでいただければ今の関西の事情を把握できると思います。

チームビルディングとマネジメントにはウェブツールが不可欠

KSRではいろんなジャンルのプロジェクトが立ち上がっています。そのどれもが基本的に年単位の比較的大きいプロジェクトばかりです。そして、会社としてはギルド制を敷いています。所属メンバーは各々得意の分野があり、そのプロジェクトの特性に合わせて最適なメンバーにジョインしてもらうことでチームビルディングをしています。

参加してもらったあとは基本的にSlackのチャット上で仕事は進み、ミーティングを極力減らしています。普通の会社であれば毎日もしくは毎週ミーティングがあると思うのですが、KSRではほとんどありません。キックオフや区切りが良いタイミングなど節目でしか行いません。もちろん必要であれば各自で話し合いはしますが、極力減らす努力をしています。

これは、会社のオフィスという空間だと近くにいる人の嫌なところも見えてしまうと思っていて、あえて人間関係をチャット上のみで希薄にすることで嫌な思いをすることがないんじゃないかなーと考えたからですが、もちろんオフ会という名の飲み会をたまに開催することでオフラインでのコミュニケーションも図っています。

オンライン上で話し合いをするときはDiscordを使っています。最近はスマブラが発売されたこともあり、Discordに繋いで話しながら一緒にオンライン対戦で遊ぶことも多いです。

以上のようにオンラインで全ての業務を進めていくにあたってツールとして、

Slack: チャット
GitLab: Gitホスティング
Stock: タスク管理
G Suite: とにかくいろいろ
・Discord: オンライン通話

このあたりは欠かせないものになっています。これらのツールを駆使しつつ、業務をひたすら最適化していくこと(DevOpsにもこだわっています)でフルリモートで仕事を回しています。

ちなみにKSRでは日報制度を採用していて、寝るまでに各自がどんな業務に何時間かかったかを自己申告してもらっています。ごく普通のことかもしれませんが、フルリモートの会社では非常に重要な業務の一つです。

今後もプロジェクト自体の規模感はどんどん大きくなっていくと思っていますし、そこで歪みは大なり小なり出てくると思います。それでもフルリモート、スーパーフレックスで今のところ十分できているので、これからも大丈夫だと思っています。また乗り越えていくためのノウハウ、仕組みづくりをしっかり進めていくつもりです。

自由なワークスタイルだからこそ大切なこと

KSRではジョインしてきた人に対して、まず最初に会社のREADMEを共有することにしています。そこにはこの特殊な形態の会社で重要視することを書いています。下記はその一部です。

■仕事
パフォーマンスと結果を最重要視します。会社としてはみなさんがパフォーマンスと結果を出すためのサポートをできる限りしますので、欲しいサポートは言ってください。
また、残念ながらエンドユーザーやクライアントは結果しか見ません。当然でもありますが、この事実を忘れないようにしましょう。

■働き方
この会社はエンジニアとしての働き方を追究する会社です。なので、

・リモートワークOK
・働く時間の縛りはなし
・副業の人も業務委託の人も正社員も区別はありません

なんでもありです。 エンジニアとして自分で考えて責任を取り、パフォーマンスを出せるようにしましょう。 もちろんそのための体制づくりはしますし、提案があればDiscussionで議題としてissueにコメントしてください。 ただし日報はあげてね。

■人間関係
エンジニアはどうしてもコミュニケーションが少なくなりがちです。

・Humility(謙遜)
・Respect(尊敬)
・Trust(信頼)

をチャット上でもしっかり意識するようにしましょう。個人的にオススメするのは顔文字や絵文字(`・ω・´) です。これがあるだけでもPRのレビューコメントも優しくなります。

■報・連・相
チャットでのやりとりがメインとなるため「報・連・相」の意識は重要です。常に自分の書く文章が相手に対してしっかりと伝わるか、どう伝わるだろうかという事を意識しましょう。「こんなもんで分かるだろ」という考えはこの会社では失礼であり、無能の始まりです。

この中でも特に「報・連・相」には相当神経を使っています。フルリモートで相手の状況が分かりづらく、そして自分の状況も相手に見えづらいとなると、チャットの一文が相手に伝えるメインの手段となるわけで、ここを雑に疎かにしてしまうと仕事の効率が一気に落ちてしまいます。普通の会社でも重要視されていますが、特にフルリモートの会社では生命線を握っていると言っても過言ではないと思います。

最近では、コードレビューで声では伝えやすいけれども文章だと伝えづらい微妙な心情表現を、このあたりを参考にして「文章の冒頭にnitをつけましょう」といった試みも行っています。こうしたことは、フルリモートの会社だからこそ生まれる文化じゃないかなと思います。

沖縄旅行の一コマ

こんな会社だからこそトラブったこと

とまぁ、ここまでいいことばっかり書いているようですが、やっぱりトラブルはあるわけで、去年、これまでで一番大変だったことがありました。それは、エンジニアがうつ病になり音信不通になってしまった事案です。

そのエンジニアの方はKSRと掛け持ちでもう一社フィンテックの会社さんの仕事をされていたようなのですが、そちらの方が大変過ぎてうつ病になったらしく、ある時を境に急にSlack上で連絡が取りづらくなりました。

当初、僕の方は「ちょっと忙しいんだろうなぁ」というくらいの感覚だったのですが、それからパタリと連絡が来なくなり、あれれれ?となったわけです。が、時すでに遅し。その後、その方から「何も手がつかない」というレスを個別にもらって以降全く連絡が来なくなってしまいました。その方には月に100時間ほどはKSR側にコミットしてもらっていたのですが、いきなりその穴埋めをしようにもそんなことはできないわけです。

となると、炎上不可避なわけで僕が徹夜をしまくってカバーリングするというなかなかハードなことがありました。結局、そこはカバーできたけれども、完全に体制が整いきるまでに2ヶ月ほど後を引くことになり、いろいろと考えさせられました。

このケースの場合、連絡が取りづらくなってから全く連絡が取れなくなるまで約2週間ほどありました。その間、その方にアサインしていたタスクの進捗は0だったわけです。社内で話し合った結果、こういう場合には早め早めに対策を打つことにしました。週に1度は必ず自分のタスク状況を洗い出して書き出し、その他の仕事やプライベートなども踏まえた自分の逼迫状況を必ず告知しておくという文化にしました。また、逼迫状況から「ヤバそうだ」もしくは「現在進行形でヤバい」という場合には、その状況共有があった段階ですぐに他のメンバーがバックアップをするような体制にしています。

まさにフルリモートならではの弊害があったわけで、その顛末を人に話すと「やっぱりそんなスタイルで会社まわすのは限界だよー」みたいなことも言われるわけですが、その言葉を鵜呑みにして会社のスタイルを変えてしまうとこのスタイルに賛同をして集まってくれているメンバーにとってしてみれば受け入れがたいでしょうし、僕自身このスタイルを変えたくないと考えています。ですから、問題が起きた時には次にその問題が発生しそうな時にどういうアクションを起こせば回避できるのかを常に考えています。

こういった会議を必ず月に一回、全社会として正社員、副業、業務委託の人たち関係なく巻き込んで開催しています。副業の人たちは本業でやっているノウハウなどを教えてくれるわけで、そういった濃い情報を提供してもらえているのですごく助かっています。

スキルをしっかり磨くセルフモチベーションが重要

昨今、フリーランスという働き方が社会的にも認知されるようになってきました。そしてエンジニアという職業は、現在圧倒的に需要の方が高く、フリーランスのエンジニアで年収700万円を超えるのは比較的容易になっており、僕の周りには1,000万円プレーヤーの方もいたりします。

そんなわけで、「プログラミングはできるけど実務経験は全然…」みたいな人でも仕事にありつけるような状況ですが、2〜3年後あたりからこの流れは変わり、「しっかりエンジニアとしての本当のスキルがある人」しか食べていくことができなくなってくると考えています。すでに企業もそのことに気づきつつあると思いますし、今後不景気になった時には企業は正社員を守るわけで、おそらく真っ先に煽りを食うのはフリーランスになるはずです。

だからこそ、エンジニアとしてのスキルをしっかり磨いていくセルフモチベートを会社として最も重要視しています。スキルのあるエンジニアという人種は正社員よりも貴重ですから。そして、エンジニアという知的探究者のモチベーションを高めるためにも「面白い」&「難しい」プロジェクトを会社としてバシバシ立ち上げていっています。

結局のところ、ここ数年でも開発スタイルや効率は様変わりしているわけですが、エンジニアという職業はずっと勉強し続けなければいけないしんどい職業というわけですね。

2017年12月に設立したこの会社は、現在40人以上が所属する大きなクローズドコミュニティとして成長を果たしました。この方針は今後も変わらないと思います。そして人が増えてできる幅が広がったからこそ、さまざまなことにチャレンジしていきたいと思っています。

会社の強みである「ワークスタイル」「採用力」「技術力」という軸はブレさせずに、「PR/広報」「営業力」など会社のいま現在の弱みをなくし、働き方(実はこの言葉はあまり好きじゃなかったりしますが)を最大の魅力としてどんどん外に向けて発信し、エンジニアの働き方を変革することで社会を変えていけるように動いていきたいと考えています。

そして、このワークスタイルが文化として広がっていくことで、将来的に東京の人口を半減できたら最高ですね(笑)。

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