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リモートチームで「離島」専門の引越し屋さんやっています〜オフィスもトラックもなしで離島生活者をサポートするのが僕らの仕事

Text:池田 和法
編集:トイロハ・ワークス編集部

はじめに

「離島でリモートワーク」と聞いて、どんな業種を思い浮かべますか?ライター、写真家、デザイナー、プログラマー、民泊運営、などクリエイティブな仕事で生計を立てている方を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。僕らの会社、アイランデクス株式会社は、自社でもリモートワークを実践しながら、離島で生活される方に「離島引越し」を提供する物流会社です。

最近、ご依頼が増えるにつれ、「変わった会社だね」と言われる機会も増えました。引越し会社なのにトラックは保有していませんし(※)、広告費もゼロで自社媒体からの集客のみ、そしてスタッフ全員がリモートワークで集まるのは年に数回だけです。ただし、最近流行りの働き方改革の波に乗ってリモートワーク化したわけではなく、事業を最適化したらリモートワークになったのです。

そのへんの経緯や、当社のリモートチームの作り方を一つの事例として共有しながら、暮らしや仕事に「離島」という選択肢をご提案できればと思います。

(※)当社は、利用運送運営許可を取得した事業となり、一般貨物運送業ではありませんので、トラック保有の必要がありません。

創業のきっかけはナンパ。きっかけなんて、なんでもアリ

社員や家族から言わせると、僕も少し「変わり者」だそうです。もともと大学院でサプリメントの研究をしていたところから、なぜかデザイナーになり、いつのまにか引越し会社を立ち上げることになりました。片やプライベートでも、4畳一間のアパート冷水生活から、ホームレスを経験してダンボールをかじる極貧生活も経験したり、タワーマンションの最上階に住んでみたりと、流れに身を任せた人生を送っております。

すべての出来事が繋がって今の自分があるので、明確なきっかけを特定するのは難しいですが、「6年前、神戸の南京町を歩くカップルをナンパしたこと」というのがそれかもしれません。ナンパといっても、お取引先企業に街でインタビューする集客企画を提案し、その一貫で街ゆく人に声をかけていたということで、もちろん不純な動機はありませんでした。

南京町で声をかけた人から今の事業に

なぜかそのカップルと仲良くなってしまい、Facebookのアカウントを交換しました。その一年後、そのカップルが結婚したというタイミングでお祝いの品を渡したのが2回目の対面。そして、その一年後、引越しが決まったというので、お別れに挨拶に行ったのが3回目の対面でした。話を聞いていると、出身の「奄美大島」に帰るのだけど引越し代金がとても高い。なんでも60~70万円もかかるとのことで、非常に困っているとのことでした。離島への引越し、そこまで高いとは思いもしませんでした!

「池田さんに頼むといくらでできますか?」

離島引越し費用の高さに驚きつつ話をよく聞いてると、どうも見積もりに来ているどの業者も、できれば離島引越しは受けたくないのかな?と思いました。普通の陸地の引越しは、最終は相見積もりの値段交渉で決まると思いますが、離島引越しに関してはできる業者が少ないからか、業者が強気というか、やりたくなさそうというか、なんだか積極的な感じがしませんでした。と、まあいろいろ思ったものの、「ともかく僕にできることがあったら言ってください」と言って切り上げようとしたら、「では、池田さんに頼むといくらでできますか?」という、創業のきっかけの言葉をいただくことになりました。

遠方の引越しでは、「海上コンテナ」という箱にいれて荷物を運ぶことになる

離島引越し。やってみたら、なんとかできた

当時、自営でデザイナーをしながら生計を立てていましたので、当然引越し業者の経験はありませんでしたが、この離島引越しのネックは「船便」であることはすぐにわかりました。不定期運航な離島行きの船で、しかも積荷が遅れることが多々あるとのこと。船で30時間くらいかかるので、トラックで往復するわけには行かず、海上コンテナを使った輸送になること。知らないことばかりでしたが、なんとか協力してくれる運送会社や、手伝ってくれる港湾会社と船会社を見つけ、ボランティアの素人引越しでしたが、原価35万円くらいで引越しできました。以前の見積額と比べると30万円ちかく安くなったことになります。

これがきっかけで、離島引越しで同じような悩みを持つ人がきっといるはずだと思い、事業を展開することになりました。最初は、離島引越しなんて小さな市場でビジネスになるの?なんて思いましたが、思った以上にお困りの方がおられるようで、いまでは年間5,000件以上のお問い合わせをいただいています。

離島への物流の根幹は船便

離島でビジネスをするために大切にしていること

当社の離島引越しのお客様をもっと明確に定義すると「離島に帰る人」です。移住者よりも、Uターンで離島に帰る人をメイン・ユーザーにしています。はじめて訪れた離島では、必ず役所と観光協会と不動産会社へ顔を出し御用聞きします。「当社は離島引越しで、離島に帰ってくる人がなるべく安く帰ってこれるように事業を進めていますが、なにかお困りのことはありませんか?」御用聞きができれば営業マンとして一流!なんて言葉もありますが、営業の一環というよりは、自分たちのやろうとしていることがそもそも必要なのか、受け入れてもらえるのか、答え合わせのためにいろんな方に伺わせていただいています。

奄美に移住している友人は自然と格闘しながら、日本一美味しいパッションフルーツ作りに燃えている

事業を始めるにあたりまず一番気をつけたのが、島の業者様や島に住む人との人間関係で、WinWinの関係づくりを心がけました。まだまだ模索しながらですが、離島の業者様の求めているものが意外とお金じゃなくて、安定的な仕事だったり、シンプルなサービスだったりします。相手にとってのWinが何なのかをいつも考えながら協業体制を取っています。弊社のビジョンに共感してくれて、まだまだ荒削りな状態のときから応援してくれている業者様も多く、現在、全国に67拠点、離島に11拠点の協力会社がいらっしゃいます。

きっかけは偶然でしたが、事業を通して離島での暮らし方を知り、そこで暮らす人やその文化に触れて、人の生き方っていろいろあるんだと考えさせられました。たとえば、最近関わってる宮古島の友人は、雨が降っても傘をさしません。理由を聞いたら「いずれ止むから」。確かに宮古島の雨はスコールっぽくてすぐ止むことも多く、止んだ後はカラッとしてるのですぐに乾くのだとか。自然と共に生きているというか、一見のんびりした考え方の中に、余白を感じる人生観が離島の文化には残っているように思います。

僕らのお客様も真剣に人生に向き合った結果、離島での暮らしを選択しています。その選択をサポートできるよう、これを短期的なブームに終わらせず、地元に帰るときに必ず使ってもらえるようなサービスに育てていきたいと思っています。

リモートチームを運営するうえで大切にしていること

「リモートワークって大変でしょ?」「どうやって管理してるの?」ってよく聞かれますが、一番大切にしていることはビジョンがブレないことです。それは、離島本来の文化を守るために事業を行なっている、ということです。ただ、リモートチームの運営は、むしろ普通の会社の方が大変なのではないでしょうか。毎日顔を合わさないからこそ、ビジョンだけを見て共に前に進んでいけるような気がしています。

理想の組織は「社員をサーフィンに行かせよう」のパタゴニアのようなチームで、僕たちはそうなれると思っています。報酬も作業代金に応じた金額となっているので、報告さえくれればいつ休んでもいいですし、いつ働いてくれても構いません。

スタッフも、オフィスで働き続けることだけが人生ではなく、ライフスタイルの一つとして仕事があると捉えている者が多いです。最近は想定以上に問い合わせが増えすぎて業務に追われる日々ですが、みんなが自主的に会社の改善点をあげて実践してくれるので、そのおかげで少しずつですが会社も大きくなってきました。

リモートワークの仕事について

現在、当社のスタッフは、大阪:2人、神戸:1人、東京:1人、岡山:1人、宮古島:2人です。もともとの友人か、友人の紹介で採用した人しかいません。

職歴もさまざまです。大阪のスタッフは義理の弟で元商社マン、宮古島のスタッフは当社の事業保険を担当してくれている友人の紹介で、元運送会社の社長です。

また、パラレルワークで当社の仕事に関わってくれている人も多いです。神戸のスタッフは別会社でもWEBマーケターをしながら、手伝ってくれています。彼は友人のトレーナーの紹介でした。もう一人の大阪のスタッフは現在も不動産会社の社長をしていますし、岡山のスタッフは本業は電気工事士です。彼らはもともと友人でした。

これからも採用は基本リファラルしか想定していません。我ながら楽しい事業をやっていると思いますので、一緒に仕事で遊べるような関係の人が合う気がします。

失敗談もあります

離島引越しにはやはりそれなりの難しさがあります。そもそも引越し事業自体がとても奥が深くて、元々あったものを傷をつけずに元の通りに運ぶというのは、シンプルだからこそ難しく、大手専門業者にはたくさんのノウハウがあることがわかりました。何もトラブルがないのが一番ですが、どうしてもヒューマンエラーはあります。例えば、こんなことがありました。

提携先の引越しスタッフが、運搬時に椅子の裏側を破ってしまい、お客様からとてもお叱りを受けたことがあります。もちろん、修繕させていただきたいと申し出たのですが、離島には家具を修理できるような職人や会社がなく困りました。結果的には、知り合いをたどってすでに廃業されてた家具職人さんにお願いして修繕していただき、なんとかご納得いただくことができました。

離島引越しならではの難しさはまだまだこれからも直面すると思いますが、「ではどうするか」を常に考えて解決していきたいと思います。

新事業のネタは現場に。沖縄車輸送事業を展開

逆に喜んでいただくことも多いです。離島引越しに付随して、いろんなお困りごとをお聞きしていますが、その一つが車の輸送事業です。弊社がメインで手がける奄美群島や沖縄離島には、関東や関西からは業者向けの船しか出ていないので、車輸送費用も高額になったり、港湾のルールがわかりにくかったり、車を持ち込む時間がなかったりと、島に車を送る上で、多くの方が困っておられます。

そこで、当社がまず船会社と提携体制をとって車の輸送代金を下げ、ネット上に受付窓口を作れば車を安く送れるし、港湾のルールをきちんと説明することで、持ち込みの不安を消すことができるのでは?と思ってスタートしたのが、【沖縄車輸送のアイランデクス】です。車輸送事業は始めてまだ一年ですが、年間1,000台ほどの車を輸送をするほどになり、今では事業の柱となっています。

沖縄車輸送専門のサービスも、御用聞きから生まれた

暮らしに離島という選択肢を

事業を始めてはや4年、「離島引越し」という狭い市場の中では、少しずつ知られる存在になってきました。働き方改革や、日本政府の離島新法という政策も後押しとなって、思っていた以上に離島引越しのマーケットが広がりました。まだまだ成長途中でお叱りや励ましを受けながら事業を進めていますが、「暮らしに離島という選択肢を」と、一歩ずつ離島の困りごとを解決できるように僕らも頑張っています。今後、離島でビジネスしたい、リモートでチーム運営をしたいという方の一助になればうれしいです。

 

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