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正社員パラレルワーカーがたどり着いた”理想の働き方”

Text: 野中 瑛里子
編集: トイロハ・ワークス編集部

少しずつ普及が進んできている在宅勤務。元は自宅を離れられない時にでも、出社せずに仕事に復帰できるよう、家族の介護や、子供の育児に従事する従業員向けの限られた制度として始まったが、最近ではサテライトオフィス導入、副業解禁などと、”リモートワーク”、”パラレルワーク”という生き方の提唱へと変化してきているように思う。

大企業とベンチャー。正社員と業務委託。ルーティンと新規事業。日本と海外。それらを見てきた筆者が思う、”幸せな働き方”についてお話しする。

最初は海外で働くことが目標だった

私は子供の頃から海外ドラマや洋画を多く見て育ってきたからか、”どんな国でも、どんな相手でも、自分の言葉で臆さず話して、やりたい仕事をする”という理想像があった。そのため、いずれは海外を舞台に、英語で仕事をするという目標をなんとなく持っていた。

とはいえ、何を仕事にするかは大きな問題で。父が理系だったからか理系職に憧れがあり、高校までは物理や数学を好んで選択していた。

一方で、学費を考えると国公立に行くことになるが、5教科7科目の壁は高かったし、医師、薬剤師を選ばずに理工学部に進んだ時、最後に就職するイメージがわかなかった。今思えば情報系に進んでデータサイエンティストになるとか、色々と選択肢はあったのだと思う。

強いて言えば、特別な関心は、ずっと、行動心理学にあった。これらは理系へのよくわからない”かっこいい”という憧れからは実質乖離していたし、浪人してまで目指したい具体的な職や研究内容として明確に描けていたわけでもなかった。インターネットは与えてもらっていたのに、思春期のあれこれでまっすぐ自分に向き合い、夢を探さなかったことはとても後悔している。

私が生来持ち続けているこの強い関心は今、多くの人の生き方・働き方の悩みを伺い、このように新しい生き方を発信するという形で消化されている。

社内公募と転職活動を通して見えてきた、理想の働き方


結局、文系へ転換し、汎用性のある経済学部に入ったことで、新卒の時には金融機関に入ることになった。理系に戻るチャンスでもあったから、Sierでのエンジニア職と最後まで悩んだけれども、受注でコードを書き続ける職よりは、と思い、要件定義などに携われる発注側を選んだ。また、金融の知識はどこでも必要なので汎用性もあると考えた。

情報システム系の部署にいければと思っていたが、初任店は銀行間取引であるインターバンク市場を取り扱う本部だった。実際の仕事はほぼ法人営業で、ここでは金融と営業の基礎を多く学ばせていただいた。

数年たつと新しい業務を学びたいという気持ちが出てくる中で、社内公募と転職という選択肢が出てきた。情報システム系部署への転換、海外部署への公募に挑む中で、なかなか希望は通らなかった。

転職斡旋会社とも面談を繰り返し、コンサルや外資系企業への転職なども視野に入れる中、海外で働く希望が叶ったらどうなるのだろうという疑問が湧いた。コンサルや外資にいくのはいい。けれど自分の職やテーマというものはそこに、まだ、ない。外資やバイサイトはハードだけれど、外聞も給与もいい。

けれど、自分がもっとも望むものはそれなのだろうか。子供の頃から、自分にとってもっともプライオリティが高かったのは自分のワクワク感、自分の手で作り上げる達成感、選択権のある自由な世界ではなかったか。

海外勤務というなんとなくキラキラしてみえるその世界をブレイクダウンしてみれば、そもそもは、そういう働き方も”選べる”力をもった自分という、そういう世界観ではなかったか。英会話サークルや海外一人旅を経て、海外への憧れを現実へ落とし込むことができ始めていた頃、気持ちはそういう風に変化していった。

人生を変えたのは、社会人5年目に出会ったMacbookとStartup


とはいえ、行きたい転職先もはっきりせず、公募も通らず、異動発令も出ない日々は続き、インターネットで、転職サイトではなく、独立の方法を探す時間が増えた。

独立、で、まず目につくのはエンジニア職。また、当時はスターバックスでMacbookを開いて自由に仕事をするノマドという言葉が流行っていた。とりあえず彼らの生態を知るべく、自分でもiOSアプリの開発をやってみようと、Macbookの購入を決意した。

X CodeでHello worldを体験した後は、コミュニティに飛び込んでみるべく、今でいうmeetupというものに片っ端から参加していった。

そうこうしているうちに”FinTech”という新しいワードが業界に入ってきた。独立やエンジニアという言葉に加えて、スタートアップという概念に触れたのはこの頃から。一人でただ独立して働くという概念から、チームでプロダクトを作り上げていく感覚。

金融機関の一員としてfintechのトレンドを追いかけつつ、Startupとは何かをそもそも調べていく中で、ベンチャーへの転職や起業という新しい選択肢が見えてくるようになった。

自由に生きる人たちに出会ってわかった、本当の気持ち


ベンチャーについてその実態を知りたかったが、そもそも金融機関では転職ですらものすごく少ない中で相談できる人も周囲におらず、インターネットを彷徨ったり、英会話サークルで転職の相談をしたりする日々が続いた。現状でもいいじゃない、大手で安定しているのだし、という意見をいただきながら、頭では理解をしつつ、自分の心身は理想と現実の矛盾に悲鳴をあげていた。

たどり着いたのがStartup weekendという団体で、仕事終わりの金曜から土日を使って、自身のアイデアをピッチし、チームアップし、投資家などの前でプレゼンをするという体験を提供していた。約3日間fixされることや1万円という参加費に怖気ずくも、これに投資もできない自分にきっと人生は変えられないと思い、思い切って参加を決めた。

これが人生を大きく変えた。実際にフリーランスや起業家として生きる人たちや、転職を望む人たちと交流でき、また、自分のアイデアを出すこと、ビジネスモデルを考えることなどすべてが刺激的だった。まだ起業や独立が自分にとって実力不足であるとわかり、しばらくは運営として学ぶことを決めた。

翌年には自身の企画でStartup weekend fintechを開催。起業側ではなかったが、小さくても金融業界に新しい波をおこせたという達成感でいっぱいだった。実際にここで成立したチームが、数年後に起業に至っているし、私自身もこの時に出会ったメンバーと共にメディアを始めてみるなど、実行の大きな一歩となった。また、ここで培った人脈を元に多く面談を重ね、最終的に現在のIT企業・新規事業部へ転職が叶った。

夢がかなった、その先に


転職後は、新規事業企画、海外との電話会議やミーティング、英語での業務に出張。どれほど望んでも叶わなかったことが次々と叶っていく中、入社約半年で副業解禁が発表になった。

もともと、まだ会社にもなっていないプロジェクトの手伝いをすることはあったが、事業主として公式に稼いでもいいという許可が出た以上、もはや開始する以外の選択肢は私にはなかった。人生は一度きりで、自分のもの。来世などない。明日もないかもしれない。適切な時期というのは確かにある。だが、いつだって、時間の保証など、ない。

さっそく個人事業主届を出し、副業サイトや人脈伝手で職を探し始め、現在では数社で事業企画やプロジェクト管理、業務改善などに従事させていただいている。また、(働き方という言葉自体が労働的で少々しっくりはきていないものの)様々な人のキャリアの価値観を紹介していくメディアも開始した。

また、正社員をしている会社は働き方改革を推進しており、フルフレックス、NY発のコワーキングスペースWeWorkでの仕事など、特に日本における大企業の正社員としては最先端に類するであろう働き方を体験させていただいている。

私はいま、とても幸せだ。自由でうらやましいですと言われることも多いけれども、ここにたどり着くまでに、定時厳守、固定席、ルーティン、紙文化、上意下達の金融機関での勤務の日々があったからこそ、今の働き方がまだまだ稀有で、ありがたく、理想に近いものであることがわかる。だからこそ、新しい働き方への転向を望む方々には、さまざまな選択肢があることをお伝えしたい。

幸せとは人生の選択肢があってこそ感じられるもの

私にも理想の働き方は、昔は見えなかった。フリーランサーも転職者も起業家も周囲にいなかったし、仕事でSlackを使うこともなかった。だが、それを見てしまえば、そちらへ行きたいという願いは湧き、あとはただただそのために必要なことを愚直にやるだけだ。ほかの何者でもない、自分のために。

多くを見てきて思うのは、必ずしも独立、転職、ベンチャー勤務が望ましいわけではないということ。様々な人と会話を重ね、転職を望まない人、ベンチャーが合わない人、シングルタスクが合っている人、ルーティンが好きな人など、それはもう多種多様だ。終身雇用はともかくとして、少なくとも、正社員には、有給、交通費などの手当、クレジットカードやローンでの保証など多くのメリットもある。

ただし、どんな人にとっても、リモートワークとパラレルワークは重要であり、これを念頭にキャリアを設計してみてほしい。正社員にだって副業やNPOという道もあるし、フリーランサーにも法人化というオプションがあり、起業家にも正社員に戻るという手もある。最近では、医者をしながら歌手をやっているという人を知った。デザイナーをしながらカフェを運営しているという知人もいる。誰にでも無限の可能性があること、そして、生きている限り、挑戦と実行はできること。大事なのはこれだけだ。

大きな転機としては、育児と介護の始まりだろう。だが、これらがトリガーとなるというよりも、そもそも転機になりやすい最大の理由が収入と社会性の崩壊だと感じている。この時、一つの会社の制度に依存した状態だと、これを維持するのが難しい。まして、これからは退職金と年金が期待できず、寿命は伸びようとしている。さらに生涯未婚率と離婚率の上昇が著しいこのご時世、特に女性には働き方の視野はぜひ広げてみてほしい。

高度成長期と同じ働き方がフィットする時代はもう終わったのだということを誰もが知ってほしい。なによりも、本人の幸せのために。物理的に出会う価値観だけに縛られる時はもう終わった。時代はITの進化によって、望むものには自由を与えてくれるものにすでに変わっている。パソコンやスマートフォンの向こうには、幸せをつかむための選択肢が無数に存在する。

幸せとは、何が起こっても、自分の人生の選択肢が、自分にあってこそ感じられるものだと私は思う。どう生きたいか、どういう働き方がベストかはライフステージによって変化していく。

海外やリゾートで旅をするように働くデジタルノマドたち。彼らの話は異次元、リモートワークやパラレルワークは自分に無縁の話だととらえることなく、自分の人生の選択肢として、多くの人に考えてもらえる世の中になってほしいと強く願う。

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