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大企業の社員からフリーランスへの転向で見つけたもの〜スキルの棚卸しとリズムの構築がキモ

Text:浅川幸宣
編集:トイロハ・ワークス編集部

私は現在、中小零細企業のサイト構築や情報システム担当の代行の仕事をしています。2018年にフリーランスになって無事(?) 1年目を終えることができました。会社員時代は大企業の1人のエンジニアだった私がなぜこの選択に至ったか、そのお話をしたいと思います。

生まれ育った町の衰退していく寂しさ

私が生まれ育ち、現在も居住している泉大津市は、大阪の難波から20分ほどの郊外にあります。ご多聞に漏れず大都市郊外は深刻な高齢化と人口減少時代を迎えています。しかし、その昔、南大阪、泉州地域は繊維産業で栄えていた土地で、最盛期は「ガチャ万」と言われる成功者(多くは創業した経営者)が多数いたそうです。「ガチャ万」とは、機織り機の機械が一度ガチャという動作をするごとに万単位の儲けが出たということから生まれた言葉です。

私は現在36歳ですので、物心着いた時にはすでにバブルは崩壊していました。同級生の中には、事業の不振から介護事業などに業態転換したり、親が家を売って他の地域で引っ越す人もいました。

その後は皆さんもご存知の通り、他に有力な地場産業もなく、観光地でない地方の町はどこも同じで、町は個人店がどんどんなくなり、チェーン店やフランチャイズ店舗に衣替えしたお店ばかりになっていきます。同時に住人が高齢化していきますから、介護施設や整骨院など高齢者向けのサービスばかり目立ち、若い世代にとってはどんどん魅力が失われていくようになります。一応付け加えておきますが、高齢化を批判したいわけではありません。人口減少や高齢化社会は日本全体の問題ですが、さらに地方の場合、多様性の無さが状況をさらに悪くしているようにも思えるのです。

会社員時代の葛藤と勉強会での出会い

今から思えば会社員時代は非常に恵まれており、誰もが一度は社名を聞いたことがある企業の大きなシステム開発の現場に携わることもできました。会社員時代に仕事を通じて学んだことが大きな財産になっていることは確かです。

ただ、会社員は収入の安定、大規模な仕事ができるなど、得るものが大きい代わりに自由が制限されることが多いのも確かです。当たり前の話ですが、会社員は原則として仕事を選ぶことはできません。部署異動、転勤、単身赴任は男性社員が出世する条件でもあったように思います。「子供みたいな不満を言うな」とお叱りを受けるかもしれませんが、そのことが私はどうしても好きになれませんでしたし、向いていないと思っていました。

そろそろ20代も終えようかとしている時に、たまたまオープンソースCMSである「WordPress」をサーバーの検証作業で利用することがありました。ソフトウェアとしての魅力を感じた私は色々と調べていくうちに、日本ではWordPressのコミュニティや勉強会が盛り上がっているということに気がつきました。たまたま仕事が落ち着いていたからだと思いますが、恐る恐るその勉強会に参加してみました。

今でも鮮明に覚えていますが、そこで出会った方々は、とても「優秀」で「素敵」でした。プライベートな時間を使って勉強しているだけでもすごいと思いましたが、まるで遊んでいるかのように楽しそうにしているし、肩書きや仕事内容に関わらず垣根なく本音で話している。会社員だった私にとってはそこは別世界でした。「この人たちのように仕事を楽しむことはできないものか?」。そう感じました。

独立か転職かで悩んだ際にしてみたスキルの棚卸し

その時点では自分が独立して、フリーランスとしての人生を歩むことになろうとは夢にも思っていませんでした。よくある会社員に共通する安定志向です。また、どんな分野で個人として仕事ができるかもわからない状況でした。

スキルの不足は自分が一番よくわかっていましたから、興味のある分野の勉強は続けることにしました。私の場合は書籍などを使っての独学に加えて、幸い大阪に住んでいたこともあり、近隣で開催される勉強会には都合がつけば参加するようにしました。ちなみに、勉強会で知識やノウハウを得たことはもちろんですが、この時にできた人脈でフリーランスとして独立後もお仕事を紹介してもらうこともあり、文字通り出会いに恵まれたと思っています。

では、転職したら理想に近づけるのか? とも考えましたが、答えは「No」でした。当たり前の話ですが、中途採用の場合には前職の経験を重要視しますから、基本的には転職しても同じような働き方になるんだと感じました。

そこで、自分の強みは何だろう?と考えた時、他のエンジニア職の方々が苦手とされる分野こそ、自分が比較的得意としていることに気がつきました。いわば、スキルの棚卸しですが、例えば、以下のような要素です。

  • 大小さまざまな組織で働いていた経験
  • 折衝することや調整ごと
  • 営業の経験や提案書を作成できること
  • 初心者の方に人に教えることや業務を引き継ぐこと

私の場合、会社員時代の10数年で、システムエンジニア、技術営業(プリセールスエンジニア)、サポートデスク、社内SEと異なる仕事をしておりました。

いわゆるプログラマーの方のようにずっとソースコードと向かい合い、高度なシステム開発をするフリーランスの方とのスキルや経験では勝負にならないと思います。しかし、他のアピールポイントがあるのではないかと考え方が少しずつ変化していきました。

実は、会社員時代にベンチャー企業で働かせてもらった経験から、企業には創業または法人化してから3〜4年目で「ITの専門家」が必要になるという確信がありました。というのも、ビジネスは通常、創業者の個人事業、あるいはご家族やパートナーの2〜3名で始めることが多いと思いますが、創業時には本業に集中して資本投下するべきで、EC事業などを除いては、将来的に必要かどうかがまだわからないITの導入を控えるべきだと個人的に考えているからです。

個人事業の間はITに頼らなくてもマンパワーで何とかなるかもしれませんし、数名の単位であれば情報共有もスムーズに行えるでしょう。しかし、ビジネスの規模が大きくなるに伴い、どこかで必ず限界がやってきます。ところが現実問題として、そんな時に気軽に相談できる専門家は地方に行けば行くほどいません。「かかりつけの薬剤師さんのような存在を目指そう」、そう思いました。マイクロビジネスにこだわって地元で働くことに決めたのです。

フリーランスとして仕事が捗るリズムを作る

私の仕事は事務所や店舗が必要のない業種ですので、独立準備中に勉強会で参加した、コワーキングスペース「OBPアカデミア」さんを拠点にしました。独立準備中は、定期的に開催されている勉強会の参加者という立場でしたが、会員としてお世話になるようになってからは世話役になって運営にも参画させていただき、そこでまたたくさんのご縁に恵まれました。フリーランスになってもなかなか仕事を獲得できずに苦労することが多いとよく聞きますが、そういう意味では私は本当に恵まれていると思います。

また、収入が少ない時には会社員時代にお付き合いのあった企業さんからのスポット案件もご紹介いただけたことも心強かったです。ただし、10年以上の会社員生活を過ごしましたので、収入に波があることが想像以上に辛かったのも事実です。

会社員生活が長く、毎日出社することが当たり前だった働き方をしている方は、独立後に仕事のリズムを作ることに苦労するかもしれません。私の場合、以下のようなフリーランスが陥りがちなパターンにはまり、リズムを作るのにとても苦労しました。

  • 雇用関係にないので、管理されていない
  • 出社義務がないので、仕事をせずにダラダラ過ごしても怒られない
  • 忙しいとプライベートを犠牲にしがちになる可能性もある
  • 本業以外の庶務や経理事務で疲弊する

そうして半年以上の試行錯誤を経てようやく仕事のリズムもつかめてきました。私が普段から気をつけていることは以下のことです。

  • 朝型生活にし、集中したいデスクワークはできる限り午前中に終わらせる
  • 自宅でずっと引きこもらないようにする
  • 物理的な移動は会社員の通勤時間のピークタイムから1時間以上ずらす
  • 一週間に1日(最低でも半日)のスケジュール空白時間帯を設ける
  • 原則として1日8時間以上は仕事しない
  • 夕方以降は緊急対応以外の仕事をせず、家族と過ごす時間にし、家事をする
  • 個人の勉強の時間、趣味の時間を大切にする

テック系の仕事をされている方には共感いただけると思いますが、コーディングなどの開発系の作業は大きなディスプレイと静かな環境の方が捗ります。早朝に作業すれば、静かな自宅の執務スペースで大きなディスプレイで作業でき、生産性が高いことに気がつきました。早朝なので、電話やチャット、メールを気にしなくても良いですし、主たる作業を午前中に終わらせることで充実感が得られ、ストレスが軽減されます。

加えてテック系の勉強会は平日の開催の場合には日中ではなく、夕方以降に開催されることが多いため、夜に主業務を入れないことで参加しやすくなりました。また、妻は会社員としてフルタイムで働いていますので、私だけが夜型生活で夜中に仕事するというわけにもいかないという事情もありました。このリズムをつかむまでは「まだ作業ができていない」と1日中、イライラすることもありました。

それに自宅で引きこもってずっと一人で作業しているのは精神衛生上、良くないと思います。商談や仕事仲間と打ち合わせする必要がある場合は、コワーキングスペースをフル活用させてもらっています。私が利用させてもらっているコワーキングスペース「OBPアカデミア」さんの場合には、会員である私のお客様(ゲスト)の方をご招待することができます。

ちなみに、私のコワーキングスペースの利用スタイルは、作業のために丸一日、朝から晩まで利用するというのではなく、クライアントさまとの打ち合わせや現地での作業、仕事仲間とのミーティングの前後に半日程度利用することが多くなっています。打ち合わせや現地での作業などあらかじめ決まった予定のタスクをこなすことに加えて、コワーキングスペースで新しい出会いがあったり、人伝てにご紹介をいただいたりと、コワーキングスペースを通じてお仕事をさせてもらうことができました。

楽しんでできる仕事にチャレンジしたい

もちろん、「現状維持、このままでいいや」とは思っておらず、次にやりたいこともあります。一言で言うと「レガシーマイグレーション」という分野ですが、ITのリニューアル(リフォーム)の際、古いシステムを現在のビジネスニーズを満たすモノに置き換えていくというニーズは必ずあると考えています。日本の中小企業である程度歴史がある企業は少なからずレガシーなシステムが存在します。退職した担当者が作成した社内システム、Excelマクロ、Accessや古いWebサイトで困っているというお声は少なからず聞こえてきます。

この分野ではレガシーをモダンな環境に置き換えるだけで終わるのではなく、デザインの刷新や動画などの新しい技術を使うなど、新たな付加価値を提供できるように、デザイナーなどエンジニア以外のクリエーターの方々とも協業できる可能性があると思っています。とてもやり甲斐がある仕事でワクワクしています。

「時代の流れが早すぎる、先を見通すことができない」と言われて久しいです。私も不安だらけですが、未来のことがわからないからこそ、これからの人生、楽しんで面白いことやワクワクすることにチャレンジできるようになりたいなと思います。もしかしたら、会社員のままでいたならそうは考えなかったかもしれません。コミュニティや勉強会が導いてくれたフリーランスとしての人生をこれからも楽しみたいと思います。

 

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