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会いたい人に会いに行く「shimanagashi」で島結人の発掘、育成、つながりを作る

Text:今井朝美
編集:トイロハ・ワークス編集部

前回は私が出会った移住計画と、いろんなご縁のおかげで始まった離島移住計画とshimayui LLCについて書かせていただきました。今回は、その中で始めた活動についてお話しさせていただきます。その名も、「shimanagashi」。

え、いきなり流刑?というツッコミ、ありがとうございます。平成にプレを行い、令和にローンチするこの企画の趣旨は、「会いたい人に会いに行く旅」。そう、島に会いに行くのではなく、そこにいる仲間たちに会いに行く。そして、その島にいる仲間たちに会ってもらう。双方に出会いを創出したい、そんな企画です。

旅を続けて行くと、なんとなく暮らしたくなってくる時があって、どっぷり暮らしたい人もいれば、軽やかに暮らしたい人もいる。でも、どこにどんな人がいてどんなカルチャーがあって、そこに自分らしいフィールドがあるかなんて、たくさんメディアを見渡しても正解はありません。今まさに旅路の途中の人が手がかりにできるものってあんまりないですよね。

そりゃそうなんです。その人がそれまで生きてきた軌跡っていうものは無視できなくて、その人の人生観や価値観や大切だと思えることって、結局その積み重ねで出来上がっているものですから。だったら、自分が生きてきた軌跡を頼りに、持ってる五感を使ってみようと。

旅は暮らしの玄関口だと思っています。だから、”一緒に流れてみない?” 用意されているのは、流されるという事実と島結人という仲間たち。誰かが用意したものに乗っかるのではなくて、自分で作って行く旅。これが、私たちが始めた「shimanagashi」です。

初めて行った最後の夕日がトトロ岩に沈んで行く前で、火成岩が広がる黒い岩場の海岸にてコーヒーを淹れた。格別だった。photo by Sanae Takeuchi

島結人の発掘、育成、つながりづくり

この旅のキモは「島結人」です。私たちは日々の活動や島のつながりから、この島結人の発掘、育成そして彼ら同士のつながりを作ることで、旅が新しい仕事や活動のきっかけになったり、島結人たちの活動の後押しになるような活動も並行して行なっています。

また、もしこれが新しい職業になれば、島により多角的かつ意味深い関わり方ができる人を増やせるのではないか。そういう発想で人材発掘、育成にも取り組み始めています。

①島結人 ホスト:島で人を迎え入れてくれる人。「shimangashi」で島に着いたら出迎えてくれる人で、ぜひ会って欲しい人。会いたい人がいるからこそ、また島に行きたくなる。

②島結人コーディネーター:島への案内人。「shimanagashi」での行程管理や島結人ホストとの調整役。離島移住計画の講座受講を経て、認定された島結人でまさに島と人を結う人です。

③島結人アンバサダー:離島移住計画の志に賛同してくれた仲間。一緒に島と人を結っていってくれるメンバー。

ホストとコーディネーターの人間関係があるからこそできる旅であり、横につながっているからこそ過ごせる時間があります。提供、というよりも一緒に作っていこうよという旅なのです。

ついこの前まで人の営みがあった野崎島へふらりと流され。

きっかけは、私の実体験。

この企画は、5年前、ある島の移住促進ページから移住申請をしたら、空き家がないという理由だけで断られた自分の実体験に基づいています。そんな「島と縁はないのだな」と思っていた頃にお呼ばれした国土交通省主催の「島っちんぐ」。アウトドア・ウェディングや女子が集うカフェがやりたいと話してくれた2つの島が、上五島中通島と福江島でした。この2つの島と、ここで当時地域おこし協力隊として頑張っていた同世代がいたおかげで、私と島との関わりは一気に進みます。

上五島は、長崎県にある”五島列島”のうちの一つ。五島ってなかなか知らない人も多いようですが、福江島は五島市、上五島と呼んでいるのは新上五島町のことです。そう、隠れキリシタンの文化が、つい最近世界遺産に登録された島です。

上五島を知るきっかけになった、当時地域おこし協力隊だった竹内早苗さん。

当初いったい誰が予想したか、立派なおまんじゅう職人になってしまった元中日新聞記者の竹内紗苗さんが、私に島の良さを魅せてくれました。一緒に早朝から参加したブリの神経締めや定置網漁。大量発生のやがらを手づかみしたあの日。ニュージーランドを思い出させてくれた景色。語り合いながらトトロ岩に落ちる夕陽を見ながら淹れたぬるくて美味しいコーヒー。うどんを食べながら、道中車で移動しながら語り合った島の未来。

当時島は好きでも、海外の方がいいと日本から目を背けがちになっていた私が、一気に島の魅力に惹きつけられたのは、観光化されたそれではなく、仲間が魅せてくれた景色や空気に他なりません。気づけば縁もゆかりもなかったこの島に、年に6回も出かけて行くほどになり、あげくに自転車イベントも一緒にやっていたりします。

日常を味わえる。そして仲間になって、一緒にその日常を少し面白くできる。それが島の魅力なんだと気づかせてくれたのでした。

朝日を浴びて定置網へ。

宇宙人が大量発生だった定置網漁。

島の仲間が島の仲間に会いに行く旅@長崎県新上五島町中通島

そんな原体験を経て、離島移住計画を発足した私は、まずは自分の仲間たちにもこの経験を味わって欲しいと思っていました。そこで、この企画をローンチさせる前に、数回プレを行うことにしました。

最初に行ったのはもちろん長崎県新上五島町中通島。

ただただ好きで何度も訪れて、仲間ができて、その仲間のうちの一人がゲストハウスをオープンするなど、いろんなストーリーを見続けて2年ほど経ったこの島に、島に関わる色々な活動をされている仲間たちを連れて行くことにしました。

参加してくれたのは、「離島キッチン」より小池くんと田中さん、「島日より、旅日より」より平塚さん、フリーランスガイドの水村さん、そして離島移住計画全員。そして、出会って欲しかったのは、総合政策課の愉快な仲間たち。島結人としても紹介している福ちゃんを中心に、いろんな仲間たちにお世話になりました。

もちろん観光もですが、メインはとにかく会話。みんな初対面ではあるものの、オンライン会議などで会ってせいもあって、「ようやく会えましたね!」からはじまり、今後、一般のお客様が参加した時に、どんな感じになるのか、まず自分たちが体験することでそれを理解すると共に、受け入れてくれる仲間にとってもちゃんと幸せな形にするにはどうすればいいのか、そこを話せる仲間たちと行った上五島は最高でした。

NZに移住したかった私が、日本の島に惚れた景色。photo by 私

「参加する人はどう思うんだろう。どう感じるんだろう。受け入れてくれる仲間たちにとっても良い時間になるだろうか」。私のそんな不安もあっという間に吹っ飛ぶほど、実は、勢い余って島に着く前に近くの別の島に行ってみたり、一緒に定置網をしたりと、この大人の修学旅行は良い意味で勝手に盛り上がりました。

ちなみに、以前から「島の若手育成」について相談を受けていたので、役場の若手を集めてもらい、一緒にお互いの良さを知るワークショップと、「フリーペーパーを作るなら?」という実践型ワークショップを行ないました。ただ旅するだけではなく、島のことを一緒に考え合う時間を過ごせ、なんだか初めて会った気がしないとか、今までなかなか私も会えなかったようなメンバーとも会えたりなど、予想をはるかに超える素敵な時間となりました。

島の仲間にとっては、こうやって人が来るんだという自信につながったと話してもらえたし、連れて行った仲間からは、後日個人でも訪れる予定を入れていたり、上五島にゲストハウスを作る流れの後押しになったりと、これまた私の予想以上のことが起こって行って、「shimanagashi」の可能性を感じられた良いプレとなりました。

このプレの様子は、スタッフの雄大がレポート化してくれましたのでぜひ合わせてご覧ください。

▼レポートはこちらから

【Event Report】shimanagashiプレ@中通島 1日目

【Event Report】shimanagashiプレ@中通島 2日目(前編)

【Event Report】shimanagashiプレ@中通島 2日目(後編)】

【Event Report】shimanagashiプレ@中通島 最終日

ゲストハウスぽれのリビングをお借りして、shimanagashiのゲストと新上五島町の若手たちとワークショップ。

チームは、ゲストと役場チームとマンツーマン。できるだけ話せる時間を。いつもの仲間じゃないからこそ話せる話もあったりで。

個人の掘り起こしの後は、島の掘り起こし。 地域と言っても、ベースは個人の集合体なのだから。

14人の島にできたゲストハウスの店長に会いに行く旅@大分県佐伯市屋形島

2回目のプレは、大分県佐伯市にある人口14人の島、屋形島へ。港からは船で15分くらい、港にも立派なスーパーが結構あるけれど、ここまで来るのに結構距離がある島です。

ここにプレが決まった理由は、離島アドバイザーでもある晋作のたっての希望でした。私たちと屋形島の後藤さんとの出会いは、年一回東京で行われている日本離島センター主催のアイランダーという企画。毎年、北から南までの200島近くの島から多くの人が参加する20年も続いているイベントです。

今年、私たちは離島移住計画としてブースは持ちませんでしたが、「Youは何しにアイランダーへ?」というインタビュー企画を実施し、20島ほどの島結人候補に出会いました。その中にいたのが、この屋形島から来ていた後藤 猛さん。この島に生まれ島で育った後藤さんは、自分のお父さんの家を改修して屋形島ゲストハウスをオープン。緋扇貝の養殖の仕事も並行しつつ、アジアを旅して感じた”自由”について模索しながら、日々、彼らしいサイズで暮らしています。

ゲストハウスのリビングは旅をしてきた人たちにとってとても心地よい空間で、後藤さんが読み漁っただろう本がどっさりあります。そこを貸し切って、おおいた移住計画の仲間たちも参戦。もちろんレストランや居酒屋もないので、食事は自分たちで作りました。後藤さんから貝をもらって作った鍋や、道中で買って来た干物を焼いたり、酒が足りないということで、港のスーパーへ後藤さんの小舟でみんなで買い出ししたり。

プレ2回目のメンバーとして呼んだのは、前回ホストをしてくれた上五島の福ちゃんと、晋作が住む鹿児島県三島村から同じ竹島に住んでいて畜産を営む下茂さん、ドイツでアーティストを長年行なってから日本に帰国し硫黄島に移住した棚次さん。そしておおいた移住計画より天下の変態宮井さんと、パワフルシングルマザーしのぶちゃん、佐伯の協力隊であるそねちゃん、「私が好き」と謎のアピールをかましてくれつつ、離島移住計画瀬戸内支部をそのうち一緒に作ろうとしているすぎゃーたの面々。

それぞれ多彩なフィールドで活動するこのメンバーなので、刺激的な自己紹介は2日間も続き、アクティビティなどないのでそれだけでほぼ終始したわけですが、逆にそれがとってもよくて、大人で玄人な旅とはまさにこうだねという時間になりました。

帰りの佐伯でも、後藤さんの奥さんが出店しているイベントがあって、そこで私のいろんな友人たちにも出くわしたりと、無計画だからこそ自由度の高い旅でした。

何もない。だから、いろんなヒトやコトに出会える。それを感じさせてくれた「shimanagashi」でした。

▼レポートはこちらから

【Event Report】shimanagashiプレ@大分県屋形島

家の目の前の海にて。ポーズは大分別府十八番の温泉ポーズ。

大分移住計画も参戦し、親子も参戦したこの回では、自己紹介で2日間終わるという奇跡。

佐伯にある蒲江港からでるこの船で参ります。15分くらいでつく。港にはスーパー充実。

実家を改造したゲストハウス。書庫には後藤さんの哲学がてんこ盛り。この日はみんなナウシカにハマった。

乾杯しかしてない2日間。最高に大人の修学旅行。

ヒオウギ貝を育てている後藤さんの父上作の海に浮かぶ仕事場がかっこよすぎた。

ヒオウギ貝を死ぬほどいただいて、鍋。見た目も映えですが味よし。

佐伯に戻ったらたまたまアイリッシュミュージックの仲間たちのイベントが。寄り道できる。これぞ工程のない旅の醍醐味。踊りまくった。

これからはじめるshimanagashi

プレはこの後鹿児島県長島、鹿児島郡三島村硫黄島と続き、全4回行いました。

最後の硫黄島は特に三島村観光協会も少し入っていただけた回にもなり、民間以外との関係性の中で生まれる企画としてのテストマーケティングもできたという感じです。

こんな「shimanagashi」は6月から本格的に公開していき、不定期にゆったりと開催していきます。同じ島にも何度も行きますし、新しい島にも行きます。「shimanagashi」それ自体のファンにもなってほしいし、島も島結人のことも好きになってほしいので、ゆるく小さくしなやかにコツコツ続けていく企画です。

なお、これまでの活動内容を簡単にまとめた記事を公式サイトに公開しています。「shimanagashi」のレポートや、日常的に行ってきた活動、これからの展開、コアメンバーの感想も含め1ページにまとめてありますので、よかったらぜひご覧ください。

また、公式サイトとSNSでは、「shimanagashi」のメンバー募集や、普段のイベントの参加者募集を行ったり、そのレポートを随時公開しています。特に2年目はより暮らしにフォーカスした活動を行いつつ、各々の特徴に合わせてより柔軟に離島移住計画自体を”暖簾分け”していく流れになりました。

1年の活動を通して、もっと島同士をつなぎたい人や都会の人々に島のことを伝えたい人、あるいは島の住人として島の暮らしをよりよくしていきたい人、また、外から関わっていきたい人など、コアメンバーや島結人として関わってくれた仲間たちが、各自の活動を通して自分の島との関わり方を見直し、より明確に自分自身の生き方を見い出せたことが一番の成果だったなと思っています。

「自分はどう生きたいのか」を見つめ直すことは、案外ないがしろにしがちです。でも、「自分にとって何が大切か」を見栄えや数字や拡散力に惑わされることなく、じっくり時間をかけて発見する。それに私たちは伴走する。私たちの活動は、それを島というフィールドで、焦らずコツコツと場と時間を作っていく尊い活動だなと、改めて感じています。

なお、今後は体制自体を再度見直し、新たにsnufkiins LLCを起こし、そこでshimayuiと離島移住計画を従来の事業と並行して行うことになりました。その件はまた次回に。

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