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祖母の住む島で好きなものと会社員時代の経験をコラボする

Text:星野真理
編集:トイロハ・ワークス編集部

寂れゆく小さな島に今できること

幼いころから暇さえあれば登山や自然を感じられる場所に旅行する家族だった。高校1年生の時、初めて海外でホームステイをして世界の広さと多様性に驚き、同時に人と人が通じ合うのは言葉ではなく気持ちなんだということを体験した。

その感動が忘れられず大学生で留学や一人海外で旅をした。これらの経験からか、自然の中に身を置きたい、旅をして多くの人や世界観と出会いたい、自分が好きなことに全力で取り組みたい、自分や周りの人が幸せになる生き方をしたい、と漠然と考えるようになった。そしてそのためにいつか自分で事業をやってみたい、と。

そんな思いを持ちながらも自分が具体的に何をしたいのかがわからず、面白そうな会社に入ろうと就職。1社目は国際色豊かな外食産業、2社目はスポーツ関係のアパレル、サプリ、トレーニングサポートを行う会社。両社とも当時まだ大きな会社ではなく創業者が自分の思いや社会に対するミッションを常に身近なところで話してくれて、社員みんなでそこに向かって一緒に進む力があった。

1社目は1年ほどで辞めてしまったが2社目は約9年勤務した。常に新しいことにチャレンジする、毎日が戦い、年齢や立場関係なく各自が責任を持った仕事をしないと会社が回らない、そんな状況でがむしゃらに働いた。みんな全力で会社のことを考え、社会をよりよくするというミッション達成のために燃えていた。本気で意見をぶつけ合い、チャレンジし、失敗したら全力で改善、これを繰り返すうちに目に見えて会社が成長していく。つらいけどすごく楽しかった。一方で学生時代から考えていた自分で何かをやってみたい、という気持ちも年々大きくなっていった。

そんな中、毎年暇を見つけては訪れていた祖母の家。熊本県上天草市にある小さな島で、海に囲まれた静かなところ。島の中に住んでいる人は自分たちには当たり前すぎて気づいていないけど、外から見ると魅力が沢山あることに気付き始めた。自分が年を重ねるにつれて人が減り、お店がなくなり、看板も色あせていく。祖母も会うたびに小さくなっているような気がする。

このままではこんな素敵な人や場所の魅力がどんどん薄れてしまう。ならば今、外からの目線を持っている自分にできることがあるはず、と考えるようになった。そして、自分が独り身で自由に動けるうちにやりたいことを思い切りやってみるしかない、それに会社員として約10年培ってきた力を外の世界でも試してみたい、今がそのラストチャンスだと思った。

キーワードは「フリーランス」

でも具体的に何をどうしたらいいかわからない。誰に相談したらいいかもわからない。新しいことを始めるのには大きな原動力がいるが、不安が大きすぎてどうしたらいいかわからない。とにかくまずは小さな一歩でいいから動こうと思ったときに、会社と家の往復で毎日同じ人と話して同じ道を通っていてはだめだと気づいた。自分の中で凝り固まった常識や世界観を変えたい、きっかけが欲しい。

そして、外の世界とつながる何かを見つけたくて、通勤時間にスマホでセミナー、イベント、など適当にキーワードを入れて検索しまくったところ、ひとつ面白そうなイベントを見つけた。キーワードは「フリーランス」。

当時フリーランスって何?という感じだったが興味をそそられた。一人で行く勇気がなかったので友達を誘って会社帰りにイベントに参加してみた。

はじめは緊張した。本当に。全然知らない人たちが集まる空間にいるのが怖かった。しかもフリーランスって何?自分以外みんな輝いて見えて、自分が今何をやっているのか、何がやりたいのかを明確に持っている人たちに見えた。それがまだフワッとしている自分にまるで自信を持てなかった。

でも怖がる必要はなかった。これという正解はないし、多様性を認め合いそれを面白いと思う空間だったからだ。私のようにフワッとしている人もいたし、すでに行動を起こしている人でさえもいろんな考え方や悩みがあるんだとわかった。みんな違って当たり前。いかに自分の考えが内向きになっていたかということがわかって驚いたと同時にものすごく楽しいと思った。

会社帰りにちょっと行先を変えただけでこんな世界が広がっていることに気付き、それからは面白いイベントがあれば一人でも参加したし、参加するたびにいろんな人と知り合うことができた。Facebookの友達がどんどん増えて名刺入れもぱんぱんになっていった。そこで必死に話を聞いたり自分のことを言葉にしながら、自分は何がやりたいんだ、というのを深めていった。

それはわずか2ヶ月の間に起こった

そんな中、とあるフリーランス向けのイベントに参加した。まだ会社員だった私は近い将来フリーランスになるかも?というくらいの気持ちだったが、そこでローカルビジネスのマッチングプラットフォームを提供するスタートアップのCEOと知り合った。

純粋に彼らのサービスが面白いと思い、自分もユーザーとして使わせてもらいたいと思い話しかけたところ、10分くらいして一緒に働いてみないかという話になった。数日後ランチをして一緒に働く事が決まった。面接もなく履歴書も見なかった。あまりにスピーディすぎて怖かったけれど、あ、これアメリカのドラマで見たやつだ、と思った。

当然不安もあったけれど、会社の外で自分の力を欲してくれる場所があること、それを試せるチャンスがこんなタイミングで来たのを逃してはいけないと思った。そして翌週、当時の上司に会社を辞めることを伝えた。会社帰りにイベントに行き初めてから、わずか2ヶ月でのできごとだった。

2ヶ月でこんなことが起こるのかと自分でも思ったけれど、よく考えると会社員時代に培ってきたスキルや考え方があってこそこのきっかけが生まれたわけで、それを逃してはいけないと思い行動できた。仕事上、常に「自ら考える・発言する・議論する」ことを意識してきたこと、直近2ヶ月で自分がやりたいことを必死で考えて言葉にしてきたことで自信をもって話すことができたのでこの縁が舞い込んできた。

そして、会社を辞めることを伝えた友人たちはみんな応援してくれて、こんなにも良い仲間に恵まれているんだということにも気づいた。それは古くからの友人や取引先、そして、直近2ヶ月で知り合った人たちもそうだった。直近2ヶ月で知り合った仲間はすでに独立したり同じようなステージにいる人たちが沢山いたので、アドバイスもくれるし悩みもわかってくれて心強く、一人じゃないんだと思える環境だった。積極的に外に出て本当によかったと思う。

祖母の住む島を拠点に「Co」を求めて来る人たちと

会社を辞めて2ヶ月はフリーランスとして先に書いたスタートアップの会社で新しいサービスの立ち上げのためのゴール設定、それに向けた実験と分析に携わった。

Googleが開発したスプリントという方法を使って、ゴールとミッションを設定し、短期間でPDCA(Plan, Do, Check, Action)を繰り返して顧客のニーズに合ったサービスを洗練していく。前職のサプライチェーンの考え方や経験が大いに活かせたのと、新しくサービスを生み出すという今までにはなかった経験も出来た。一緒に働いたビジネスパートナーから多くのことを学んだし、2ヶ月という短期間でこんなに多くを考え経験することができるんだということが分かった。これから自分の事業を創っていくにあたりかけがえのない経験になった。

また、日本とアメリカを旅して、移動しながらリモートで働き、Coworking&Colivingを体感した。知らない人たちが集まって仕事をするうちに新しい何かが生まれる。まさに自分がやりたいことだと気づいた。

祖母の住む島を一つの拠点として地元の人たちと外から「Co」を求めて訪れる人たちで何かが生まれるはずだと信じている。私は自分が持っている外からの目線とこれまでの会社員時代に培った考え方や経験、そして会社外で得た視野と人脈を多様に組み合わせていきたい。

というわけで、10月末からGlocal な”Co-Lab” 創りを実験・実践しはじめた。やりたいことを思い切り実験する場(Lab)があって、個の活動が連鎖し地域や個人を豊かにする(Collaboration)。そんな場「Co-Lab」。熊本の小さな島で地域の繋がりと個性を大切にし、世界とつながる。本来持つ素晴らしさを再認識し、新たな機能性、デザイン性を創造する。世界(Global)と地域(Local)がつながるGlocalの視点で。

そして自分はその場の究極のカスタマーであり続けたいと思っている。場の運営が目的なのではなく自分自身やりたいことに思いっきり挑戦する場が欲しい。そして好きなものやことに没頭することを恐れずに、それで生活するすべを作って生きたい。そういう人たちが自然と集まったら間違いなく素敵な場は勝手に作られると思っている。だから自分もそのうちの1人としてそういう場で思い切り好きなことに没頭したい。

自分の直近の課題は、地元の人たちと繋がり、課題やゴールを共に設定して取り組むこと。現在見えているのは深刻な人手不足。自分にできることは外から人を呼び、中の人たちと繋がりながら経済を活性化する方法を考えて実践することだと考える。 今進めているのは、この地域の豊富な資源「食」をテーマに島や地域を知ってもらい、興味を持ってもらうこと、そしてこの土地に来てもらうこと。飲食業界時代の人脈や東京での経験が活かし、自分だからこそできるアプローチを行っていく。

そして、将来的には自分の好きなことをからめた実験もやっていく。海とサーフィンが好きだから環境問題と地域活性を組み合わせたプロジェクトをやろうと考えている。そしてもう一つ。海外に行ったり海外の人と話をすることが好きなので、日本にいる外国の人がより日本で快適に暮らせるようなサービスをつくり、そしてそれを海外で住む日本人にも提供したい。

更に、会社員時代に培ったスキルや考え方を大いに使う。「自ら考える・発言する・共に議論する」楽しさを多くの人と体感し、そこから生まれる様々な可能性を広げたい。様々なテーマでディスカッションの場を設け、サプライチェーンマネージメントの経験をもとに何かを作り出す時すべてにおいて必要なゴールとミッションの設定、それを達成するプロセス全体の効率化と最適化をサポートする仕事もしていく。

いろいろ書いたけど、これらは全て今まさに始めたばかりの動きで先は長い。お金を稼げるのか、結婚したり子供を持ったらどうなるんだ、という悩みもある。毎日不安だらけだが、その分「生きている!」という気持ちになる。でも、会社員時代がなければ今こうして強い意志で動いている自分は存在しえなかったと思う。

だから私は、好きなものと会社員時代の経験をコラボレーションさせながら突っ走っていきたい。今まさにその扉を開けたところ。

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