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「まちをチーム」にする働き方~北九州のコワーキングスペース「秘密基地」から

Text:中川康文
編集:トイロハ・ワークス編集部

こんにちは。福岡県北九州市でローカルフリーランスとして生きている、中川康文と申します。北九州市小倉駅近くのアンダーグラウンドな通りにあるコワーキングスペース「秘密基地」をベースとして生きています。今回、自分の体験を通して「新しい働き方」について書きました。信頼をベースに横に連携して社会課題を解決していく「北九州モデル」に触れていただければ嬉しいです。

ローカルでフリーランスとして仕事をする

職業はと聞かれても答えることができません。「いろいろやっています」とか「百の仕事をする意味で百姓です」などと答えています。フリーのデザイナーとか、フリーのWEBプランナーと呼ばれる人を羨ましく思う日々です。何でもできるようですが、何にもできません。

例えば「まちはチームだ」という一般社団法人で事務局長をしています。事務局長と言っても、勝手に名乗っているだけで、特に何の影響力もありません。雇われてもいません。不思議ですよね。たぶん、わりと新しい働き方をしています。

「まちはチームだ」は、「秘密基地」にフリーランスや起業家が集まって運営しています。企業や行政などの様々な仕事を受託したり、オリジナルのイベントやセミナーを開催したりと、幅広く活動しています。特定の社員がいるわけではなく、プロジェクトごとに幅広く様々なメンバーが参加しています。報酬も時給でいくらという形ではなく、最後に残ったお金を分け合う形で運営しています。

「まちはチームだ」のメンバーで、公立高校でも授業をしています。

「まちはチームだ」の取り組み

僕がメインとして関わっているのは「創生塾」というセミナー事業です。「創生塾」は「秘密基地」に集まるフリーランスが、自分の体験や知見を共有するために始めたセミナーです。参加者が、理念や言葉を共有することで仲間になっていくのが特徴です。

この塾の受講者は過去4年で延べ10,000人に上り、民間で立ち上げた創業支援の取り組みとしてはかなり大きなものとなっています。現在は北九州市や国の認定を受けながら、新しい生き方を目指す人を支援しています。

例えば、カフェの経営を始める人、助産師を始める人、ケーキ屋さん、ファシリテーターやカウンセラー、コワーキングスペースオーナー、生花店、実用品プランナー、キャリアカウンセラー、ヨガインストラクター、WEBデザイナー、グラフィックデザイナーなど、さまざまな方が新しい人生に向かって一歩を踏み出しています。

個人的には地域の仕事が好きです。地域の防災計画を作るお手伝いをする「みんなでBousai」という会議のファシリテーターをさせていただいています。準備や打ち合わせ、報告など、かなり時間がかかるのですが楽しんでやっています。

また、ギラヴァンツ北九州というサッカーチームと、ステップ北九州という引きこもり支援センターとでチームを作って、ギラヴァンツオープンマインドプログラムという引きこもり支援の取り組みも行っています。2年目に入り、支援していただける方の輪も大きく拡がってきました。

北九州フードフェスティバルというイベントもあります。「北九州の食は美味しくて楽しい」をテーマに毎年開催しています。実行委員メンバーが毎年20名くらい集まり運営していますが、今年は台風のため中止になってしまいました。

30代~50代という比較的若いメンバーで句会を立ち上げ、先日句集を発表しました。また地域ブランディングは歴史が最重要だと私は考えているので2000年前からの歴史を紐解く研究会を開催したりもしています。このあたりの仕事は、僕にとってはまさに「まちをチームに」している仕事と言えます。

他に、経産省のおもてなし規格認証というサービスの認証員をさせていただいていますし、さまざまなSNSの運営、その他イベントにも色々と関わらせていただいています。

フードフェス実行委員会&おもてなし規格認証審査員として金認証店舗を取材

「秘密基地」に来るまでの紆余曲折

いろいろやってはいますが、独立して2年くらいです。なぜ、僕がこんなに色々な仕事をするようになったのか。それは、僕がスペシャリストではなかったからです。

自分が誰より得意なものなどありませんし、苦手な仕事の方が多いからです。たまたま仕事がある場所に自分が行ったから、参加することができたと言えます。その点では主体的に関われたのですが、僕も3年前までは、自分に言い訳し、他人に文句を言う反応的な毎日を送っていました。

今40歳、愛するカミさんと息子がいます。新しい働き方を実践し始めている僕ですが、ここに至るまではなかなかの波乱でした。大学に一年多く通ったあと、印刷会社の営業マンとして10年くらい働き、その後、学習塾の教室長に転職しました。

もともと「学習塾のシステムを売ってくれ」というオファーをもらって転職したんですが、いざ入ってみると「とりあえず教室長をやってくれ」と言われ、教育の現場に立つことになりました。とても充実した日々を送っていましたが、4年目のとある生徒が僕の大きな転換点となりました。

ある志望校に、確実に合格できると思っていた生徒がいました。その生徒は、いつも試験前に熱を出し、部活の試合前に怪我をするような生徒でもありました。一生懸命頑張ってくれる生徒で、絶対に合格させてやりたいと思っていました。本番、内申点も十分、自己採点もボーダー以上でしたが、残念ながら不合格でした。

僕は後悔しました。たぶん不合格になるだろうと心のどこかでわかっていたからです。しかし、その時の僕には成績を上げる手伝いはできても、メンタル面の深いところまで支援する技術はありませんでした。自分に足りないところがわかっていたのに、そこをカバーして彼をサポートできませんでした。もう、その仕事を続けていく自信がなくなりました。

写真はイメージです

その年、他にもいろいろあってその塾を辞め、心理カウンセラーを養成するスクールに転職し、自身、心理カウンセラーの勉強をしながら営業や事務の仕事をしました。そこでは大きな学びと自分を見つめる機会をいただき、メンタルに関する技術や姿勢、そして自分自身の在り方に気づくことになりました。

系列フランチャイズ校に移籍したりする中で、昔働いていた塾から講師が足りないので手伝ってほしいと依頼を受け、2年ほど教育の現場にも復帰しました(その時、塾の運営母体も変わっていました)。自分の成長を実感する日々でしたが、勤めていたカウンセリングスクールの代表が亡くなり、時を同じくして塾のほうも無くなることになりました。

カウンセリングスクールの後始末は僕がやらねばならなかったため、転職活動をすることもできず途方に暮れていたのですが、子どもが保育園に通っていたこともあり、無職ではいられませんでした(親がニートだと保育園には入れないのです)。

そこで、「秘密基地」のシェアオフィスを借りて、知り合いの名前を借りて、設立が簡単そうな一般社団法人を設立しました。ただもちろん仕事のあてなどありません。ひとりで始めるしかありませんでした。ただ、たまたまシェアオフィスを共同で借りてくれる仲間がいたのは有難かったです。

その仲間と出会ったのが「創生塾」です。それからもう会社も2期目を終えて、僕はまだ生きていて、先述のいろいろな事業に携わることができています。有難いです。

秘密基地でスナックのママの仕事をしたり。キタキュウウーマンプロジェクトのいずんMCと。

これから新しい働き方を目指すあなたに

小さい頃から就きたい仕事なんてありませんでした。「この仕事ならお金と引き換えに自分の時間を捧げ続けてもいい」なんて思えるはずがなかったんです。でも、今思えば、それは自分がやるべき仕事に名前がついていないだけでした。今なら、「これは自分がやらなきゃならない仕事だ」と思えます。

人と関わることが僕にとっての「価値」だと言えます。それが真剣に、真摯であればあるほど、自分が強くなってる実感があります。スキルやつながりという部分についてもそうですし、自分を肯定する力においても同様です。コミュニケーションの量と質が僕を幸福にします。

西洋的な成功哲学みたいなものには、僕は合いませんでした。コミュニケーションの中で、相互に認め合い信頼する形で、やれることをやっていく。それが今の僕にはちょうど良かったと言えます。

もうひとつ僕にとって良かったことは、関わる人を変えたことです。変わってしまったと言ったほうが正しいかもしれません。もともとメンタルの業界にいた僕は、言ってみれば相互依存の関係性が強い場所にいました。そして似た価値観を持つ人が多くいるなかでぬくぬくと生きてきました。

しかし、「秘密基地」には自分とは全く違う価値観を持った人がたくさんいました。ポジティブで、主体的な人たちがいました。そこで僕は背中を押してもらうことができました。

例えば、秘密基地を立ち上げたオーナー兄弟、岡秀樹氏と岡浩平氏。門司港レトロという観光地をイベントの街にした、門司港のバナナマンこと秋武政道氏。巨大なローカルFacebookページを運営し、多くのイベントを立ち上げ続けるプロデューサーKA-TSU氏。ローカルインスタグラマーとして活躍しながら、地域ブランディングに取り組む栗山喬氏。ローカルアーティストとしてクラウドファンディングを成功させ続ける詩太(うーた)氏。ファシリテーター、事業脚本家として全国を飛び回る渋谷健氏。

彼らは前述の「創生塾」講師陣でもあります。次回からは、そんな「秘密基地」に集う人たちを紹介していきます。

創生塾のみなさんが、いつも僕の背中を押してくれました。写真の講師は渋谷健氏。

僕らは他者との交流の中で、コミュニティの中で、再編集されていきます。そこでは、不要な出会いなどありませんでした。僕にとって全ての出会いが有難いものでした。そして、僕が参加したことでこのコミュニティにも良い影響があったとも言えるのかもしれません。

これを読んでいただいているあなたも、どこかであなたを必要としている人がいて、あなたがやらなきゃならない仕事に出会えるはずです。例えば、日本にはコワーキングスペースがたくさんあります。そこで出会った仲間と、あなたも未来を創ることができます。そこであなた自身の仕事と出会うことができます。

「フリーランスはひとりで働くからやだな」と思っているあなた。僕らはひとりでなんて仕事していません。確かにひとりで仕事するなんてつまんないですよ。一緒に仕事をしていきましょう。

僕自身は、自分がやってる仕事が、絶対に次世代のためになる、それは善だ、と言い切れる人生を送りたいと考えています。そう思える仲間をいつも探しています。一緒にやっていきましょう。僕ら、「まちはチームだ」はコワーキングスペース「秘密基地」でいつもあなたを待っています。

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